北インドのカリンポンでヒマリハイランドコーヒーを体験
北インドは西ベンガルのヒマラヤ近郊の町カリンポンにあるコーヒー農園を訪れてきました。 Himali Highland CoffeeのRishi Raj Pradhan氏がコーヒーの旅を私と共有し、素晴らしい農園を個人的に案内してくれました。これから注目の農園を体験し、紹介します。
HBC
6/23/20251 分読む


2024年12月、私たちのチームはインド北部の西ベンガルに特別な旅をしました。すぐ北には、シッキム州があり、ヒマラヤ山脈がそびえ立つ場所です。 私たちの目的地はダージリンとカリンポンの境目で、シッキムの南端にあります。
伝統的なチャイと、無限に広がる茶農園が有名なこの土地で、10年ほど前からコーヒー栽培が始まりました。ありがたいことに、私たちは、すでに専門的なグレードの認定を受けているコーヒー農園を訪問することができ、この新興コーヒー地域の旅物語に素晴らしいマイルストーンを残すことができました。
ヒマリハイランドコーヒー
北インドといえばダージリンティーが有名ですが、カリンポンはそのダージリンの隣にあります。ヒマラヤのカンチェンジュンガ峰を望む地域です。
カリンポンに行くには、ニューデリー空港からバグドグラ空港まで飛行機で行き、シリグリからタクシーで向かいます。 シリグリを出ると、ほぼ山道を3時間ほどかけて登っていくことになります。時には素晴らしい景色に感動したり、サルに出会えたりするかもしれませんが、車酔いとも闘わないといけないかもしれません。
やっとのことヒマリアグロコモディティーズ(Himali's Agro Commodities) 農園に着くと、オーナーのリシ氏が温かく歓迎してくれました。 彼は、コーヒー農園がどのように始まったのか、現在の状況に至るまでのストーリーを詳しく話してくれました。 農園のさまざまな場所を見学しながら、私たちは彼のストーリーを聞き、コーヒーについての知識を深めることもできました。
このコーヒー農園は、栽培、焙煎所、さらには小さなカフェ、そしてホームステイ施設まで揃っていました。まさにオールインワンの事業のようでした。 パンデミックの影響で今は一時的にカフェの運営はしていないそうです。




コーヒー栽培の始まり
農園主から、この農園がどのようにコーヒー栽培を始めたのかという興味深い話を聞くことができました。
リシ氏は2014年、ホームステイの客であったオーストラリアのコーヒー専門家ルウェリン・トリップから、アラビカの苗木4本とともに、コーヒー生産や焙煎のための技術そして設備を受け取り、それが始まりだったそうです。
リシ氏は当初、ただ、好奇心からその木を育てたのですが、2017年に成木となった木から約2kgのコーヒー豆を収穫することに成功しました。その後、さらに多くの苗木を植え、現在ではアラビカ種400本とハイブリッド品種チャンドラギリ種1,000本を栽培しています。昨年は650kgのコーヒーを生産しました。これが近隣農園も含めた数値なのか、それとも彼の農園だけのものなのかは定かではありませんが、彼は今後も収穫量を増やす計画です。
詳細は、下記の新聞記事中ほどにあるリシ・ラジ・プラダン氏に関する記述を参照できます。


カリポンでのコーヒー農園ツアーを終えた後、私たちはリシ氏からエキサイティングなニュースを受け取りました。 彼はSCA評価方法を用いた評価を受けるためにバンガロールのインドのコーヒー委員会に行き、自分の農園のコーヒー豆を提出し、84.25という高スコアを獲得したそうです。
その時のカップノートは次の通りです。「 素晴らしくバランスの取れたコーヒーで、濃厚なミックスベリーやほのかなプラムの甘い香り、そして、ジャスミンのような優しいフローラルな香りがします。 プラムやドライプルーンの重なり合う風味、ワインやブドウの味わいがチョコレートやキャラメルの風味と見事に調和しいます。 ミディアムプラスのボディ感で、スムーズで、シルキーな舌触りです。後味には、甘いブドウやドライプルーンの余韻が感じられます。」
フローラルでフルーティーな味わいとチョコレートやキャラメルの味わいが見事に調和した、卓越したフレーバープロファイルとのとても高い評価を得ています。


コーヒー農園の探索
農園を歩いていると、どのコーヒーの木にも細心の注意が払われていることに感動しました。 農園主は、この地域の高度が高く、独特な気候がコーヒーを栽培するのに理想的な条件なのだと説明してくれました。 それでも、霜や気温の変動はコーヒー栽培の課題となっているそうです。
確かに、私たちがカリンポンに滞在したのは12月の初めの方でしたが、昼間は暖かい真昼の日差しが心地良い一方で、朝晩は冷え、特に夜はとても寒くてシャワーを浴びるのもブルブルするほどでした。
農園主のリシ氏が特に強調したのは土壌の酸性度でした。 彼はコーヒーの成長を最大限にするために土壌のpHを常に監視し、コーヒーの木の品種ごとに最適なpHレベルを維持するために手作りの肥しを調整したりと手間暇をかけておられました。
現在、この農園ではタンザニアの「アルシャ」、ブラジルの「カトゥラ」、インドで開発されたハイブリッド品種「チャンドラギリ」の3種類のコーヒー品種を栽培しているとのことです。


ヒマラヤンコーヒー
この農園ツアーの一番のハイライトは、なんといってもコーヒーの試飲でした。特に印象的だったのは、そのフルーティーな香りです。口いっぱいに広がる甘く果実のような風味が、とても幸せな気持ちにさせてくれました。最後に感じるほどよい苦味も心地よく、余韻も楽しめました。
産地で直接飲んでいるからかもしれません。でも、それだけではなく、本当に、とても印象的で格別な味わいでした。
この農園のコーヒーはナチュラルプロセスで作られています。考えてみると、この地域は標高が高く、水資源が限られているため、そうなるのは不思議なことではないのかもしれません。


木製の窓枠を乾燥棚として使っていて、それがなんだか微笑ましく感じられました。将来的には、きちんとした乾燥設備への投資が必要になるかもしれません。農園は斜面にあるため、コーヒーを乾かすための広く平らな場所を確保するのは簡単ではなさそうです。
農園主は、パンデミック以前から思い描いていた「カフェを開く」という夢についても話してくれました。そこで自家焙煎したコーヒーを提供し、訪れる人にその香りと味を存分に楽しんでもらいたいのだそうです。農園内には約15坪(およそ50平方メートル)の小さなバンガローもあり、将来的には宿泊施設として使える可能性もあります。
最後に
まとめると、カリンポンのこのコーヒー農園はまだ規模こそ小さいものの、農園主の品質へのこだわりと未来へのビジョンには心から感銘を受けました。雄大なヒマラヤの景色と、そこで育まれたコーヒーの独特な風味は、一生忘れられないものになりそうです。


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